【商店主たちの熱い夜】初めましてで、ビジネス成立?!「まちと商うプロジェクト2015」始動!

2015-09-15 19.30.55

「初めまして!!よろしくお願いします」

 

とある夜。

いっせいに、まちの商店主たちの名刺交換が始まったのは、「まちと商うプロジェクト2015 事業説明会」の一場面でした。

100年続く老舗、ほんの先月OPENしたばかりの新規店、個性的なまちのお店、様々な業種・・・

若手は20代の学生から、60~70代までがゴタ混ぜになった会場は、熱気と何かが起こりそうな予感を感じさせる。

2015-09-15 19.47.42

ああ、ついに始まった・・・

緊張と期待で胸の高鳴りを覚えながら、3ヶ月前、この計画が始まったばかりの最初の集まりを、ふと思い出したのでした。

 

『まちと商う』 

悩んだ末にポンと生まれたのが、このプロジェクトの名前でした。

まちの商店が、他店との交流を通して「みんなが困っているまちの課題」を共有し、互いがアイデアを出し、助け合いながら活路を導き出していく。他の店からもたらされる刺激がモチベーションを高め、協力することで選択肢の幅を広げることが可能となる。

個性的なお店がそろっている、このまちならではの未知の可能性。

今眠っている、本当のまちの魅力と強さをみんなで共有・認識することが、商いの強力な武器にはならないか。

そんな思いのもとで、この「まちと商うプロジェクト」は、今年6月、水面下でゆっくりと動き始めたのでした。

okazaki52

(参考写真:http://tamagazou.machinami.net/okazakishigaichi.htm)

岡崎中心市街地、康生エリア。

数十年前は大型ビルが乱立し、ところ狭しと人があふれかえった、西三河きっての繁華街でした。

昔は何もしなくても人が来ていた時代が確かにあり、明らかに外を歩く人が少なくなった今でも、その頃の顧客を引き継いでいるために何とか暮らせる程度には稼げるため、早急に解決しなければ!!という危機感を抱きにくい現状。

しかし、今回のプロジェクト運営サイドの中心メンバーに加わってくれた商店主さんは、現在の顧客がいつか途切れてしまうのではないかという、5年後・10年後の不安を常に抱え続けるまま過ごす毎日に、何とか終止符を打ちたいという思いの内を話してくれました。

この先、まだまだ数十年とまちで商いをしていく若い世代にとって、5年後の危機は、明日の糧を得ると同じくらいに、解決すべき重要な問題であること。そして、5年後、10年後に訪れる危機に対応するには、5年前、10年前からの準備が必要であること。

そんな危機感のもと、声を上げた一部の商店主によって開始された「まちと商うプロジェクト」でしたが、この事業は運営が非常に難しいという特徴がありました。

064

例えば、自分のお店のことは毎日考えていても、「まちの共有の課題」を解決しよう!となると、店主にとって急に自分事に思えなくなってしまう。なんだか、ぼんやりと遠いものに感じてしまう。

「まち」という曖昧な概念は、どうしてもリアリティを持って受け入れにくい。この大きなハードルは、運営メンバーを常に悩ませ続けることになりました。それでも、みんなが一つの方向を向いて何かを行うためには、どうしても「みんなが実感できて、解決を望む共有の課題」を表面化させることが必要だったのです。

そして開催された1回目のプロジェクト会議。

お店にとって最も実感しやすい「顧客」を切り口として、各店舗が抱える問題を話し合いました。

その結果、「まちが抱える問題」として一つの課題を導き出すことに成功しました。

a1070_000109

それは、「まちの顧客の高齢化」

あまりにも当たり前の問題すぎて、えぇ・・・?って言われてしまうかもしれないけれど、逆にだれもが「そうだよね、困っちゃうよね」と納得してしまう身近な課題こそが、リアリティを持って受け入れられるものでもありました。

今はお客さんが来てくれているけれど、その人たちもどんどん歳をとっていく不安。今はいいけれど、いつかお客さんが減っていってしまうのではないかという、じり貧の思い。対策を打っているお店もあれば、何とかしたいとは思うけれど業種的に難しいお店もあったりと、さまざまな現状が浮き彫りになりました。

ウラを返せば、解決方法はとてもシンプル。つまり、「若い世代の顧客層のとりこみ」を、目標に動きましょうという結論に至ったのです。2015-07-21 11.08.46

  若い世代=ファミリー世代をまちに呼込むことが出来れば、長い視野で見て「顧客の連続性」を実現できる。ネットで買い物を済ませる、人と接しない子どもが、将来まちに来て買い物をするはずがないのです。だから、どうしても接点を作りだし、流れを変えていく必要がありました。

しかし正直な話、この街にとってそれは非常にキビシイのが現実です。

若い世代は、「安い・お得・早い・使い捨て・便利」に慣れ親しみ、それを価値とする時代に育っています。そして、現実的に子どもを抱えたファミリー層は金銭的にも時間的にも余裕を持たないことが多い。つまり、上質さなどを価値とする岡崎中心市街地の専門店街にとって、あまり相性が良いとは言えない。そのため、時代の移り変わりの中で「まちのイメージ」として買い物の地に選ばれることが減り、その世代を何となく敬遠してしまう流れが出来上がっていきました。

時代の進むままに何も手を打たなければ、大型資本である郊外のショッピングモールにごっそりと若い世代を持って行かれてしまうのは仕方がない流れなのです。

だからこそ、もう一度まちの本質を見直し、ショッピングモールにはない価値を作り出して、ファミリー世代が欲しいと思う形でサービスを変換する必要がありました。

そして集まった第2回目のプロジェクト会議。

ターゲットと定めた「若いファミリー世代層」に対して、まちはどんなサービスを提供できるのか。

上記の流れを受けて、実際に顧客となりうるターゲット層の生の声をデータとして得ることが、話し合いを深掘りするために絶対的に必要でした。そのため、まち会社では別事業を活用し、子どもを持つ若いママ世代に実際にまちを歩いてもらうモニターツアーを開催。

11032541_855402804548514_7754681145690836352_n

・情報伝達ルート

・まちの印象

・不便を感じる箇所

・ママのニーズや商店に入るうえでの課題

など、ママさんたちの協力のもと、多角的に洗い出しを行いました。

そして、それと並行して、「まちと商うプロジェクト」内でまちの強みや弱みの分析を行い、「まちとターゲット層の接点」をどこに作り出せるのか、どんな価値を持つことでターゲット層が利用したくなるイメージを発信していけるのかを、参加商店主とともに考えていきました。

その中で見えてきたのが、「教育の場としての商店街」という、これまでとまったく視点の異なった利用方法でした。

19918_855891881166273_4193771880393208016_n

モニタリングの中で出てきた一つの結果。

親は子どもの経験や体験のためには、多少の不便を乗り越えてでもその場にやってくるという、親独特の「行動の心理」を持っていることが判明したのです。

現在、岡崎の中心市街地は、圧倒的な駐車場不足という「不便」を抱えています。加えて、トイレや休憩スペースなどの子どもを持つ親にとって必須な設備も万全とはいえない状態です。つまり、親にとっては何か特別な理由がなくては、足を運ばないエリアになってしまっていることを、どうしても認めざるを得ない。

それなら、親が不便を物ともしないでまちへ訪れる、「何か特別な理由」を作りだすことが、一番現実的だという結論に至りました。駐車場をつくる、トイレや休憩所を整備するにも、ある程度その世代がまちに訪れる実数を増やして、ようやく必要性を訴えることが出来る。それなら、イメージ戦略から打って出るのが、一番の近道になるという考えです。

プロジェクト会議の流れの中、学校が課外実習の受入れ先の不足に悩んでいるという話が出てきました。

また、親が週末に大型ショッピングモールへ子どもを連れていくのは、そこしか連れていける場所がないのでは?という意見もあり、加えて前年に行った「でっち」(商店内でのこどもの商業体験イベント)が大盛況だったことから、親にとって「こどもの楽しい思い出作り」や「成長の場」としての商店街には、価値があるのではないかというところに話が及びました。

2015-07-21 11.35.51

ニーズがあるのなら、客を呼ぶのは可能かもしれない。小さな光が見えた瞬間でした。

もしそれでファミリー世代を呼び込むことが出来れば、子どもを媒体としての接客が可能になります。それは、量販店の「早い、安い、使い捨て」などとは一線を画し、まちの特性である専門性が、「良いものに触れさせたい、本物を見せたい」などという好意的な解釈に価値変換される突破口になるかもしれない。

そして、子どもが親を接客するなどのイベント性や、人とのつながりを基軸とした再来店の動機を作り出せるなど、幅広い展開につながる可能性が見えてきました。

2015-08-03 19.53.44

そんな中で開催された、第3回プロジェクト会議。

ここではいよいよ、ターゲットに対して「まちをどんなイメージで売り込むか」、つまり、まちの方向性を決定する話し合いが行われました。こどもの学びや気づきを得られる場所としての商店街が、求められる姿である、と。では、何を提供することがファミリー世代に「この場所」の必要性を訴えられるサービスとなりうるのか。

ヒントとなったのが、以前このブログでも書かせていただいた、岡崎中心市街地に数多く残る100年企業の存在です。全国でも2番目に「古い企業が多く残っている」この地の価値。それは、「早い、安い、使い捨て、便利」など、現代の流れと逆をいくものでした。

 

「人が人として商う、人として暮らせるまち」

巨大資本がコストカットを行っていけば、売り手はロボットであればよい。客にはピンポイントのサービスを提供して、狙ったお金を落としてもらう存在であればよい。つまり、そこに「人としてのあたたかさや気遣い、思いやり」といった心という無駄はない、ごっそりそぎ落とされてしまった売り手・買い手の関係性があるだけです。

しかし、長く商いを続けるということは、客との長期ビジョンを持ち、「買ってからがお付き合いの始まりであること」や「商品を売る先に、客の快適な暮らしを意識すること」、そういったものが、長く愛される企業の原点「ご愛顧」という形に現れています。そもそも、この地域のお店は当たり前のようにそれを実践しているのです。訪れると、コーヒーやお茶でもてなされる。他のお店の情報を教えてくれる。買った商品がいつまでも良い状態であるようアフターフォローを行ってくれる。コストを度外視した、プラスαのおもてなし。ただ、それがあまりにも当たり前すぎて、価値として認識していなかったに過ぎないとしたら・・・

ビジョン

それならば、そういったお付き合いの仕方が価値となるのではないか。親にとっては、子どもの情操教育のなかで、人とのふれあいや相手を思いやる心、コミュニケーションの在り方を学べる場として、商店街にもう一度光を当てることが出来るかもしれない。

そうやって生まれたのが、長寿のお店も新規のお店も、当たり前のように「アフターフォローやおせっかい」の精神を持ち合わせる、「人としての商いを行う、ご愛顧のまち」という、まちのビジョンコンセプトでした。

その象徴キーワードとして、人と長く付き合う「長寿商店街」という旗印。これをみんなで掲げて、商店イメージをパッケージで売り出していこうというのが、今回のイメージアップ戦略の目的です。

2015-08-03 19.54.04

そして、ついに商店街のイメージ発信の最初の一歩として、「長寿商店街」という冠を掲げ、各店舗が自店の自慢のサービスを紹介する「誘客企画リーフレット」の制作に至りました。

これは最初の一歩ではありますが、今後は

①まちのイメージを発信、子どもたちにとって学べる場所である事を示す(今回のリーフレット)

②教育機関と連携、子どもたちが恒常的にまちへ来る流れを作り出す(学校から家庭への商店発信の検討)

③子どもを介しての親との接客や、こどもたちとの手紙のやり取りで「人のつながりをつくる」(若い世代を顧客に変えるためのアプローチ方法の確立)

という風に、民学連携でまち情報を家庭に届ける仕組み作りや、子どもを介しての親御さんへのアプローチ方法を長期的ビジョンの中で検討していきたいと考えています。

 

そして同時に、商店同士が同じ方向を見ながら協力し合う体制作りとして、「紹介制度企画」も進めていきます。

まちの一体的なイメージ発信と、足元の基盤を強固にして、呼込んだ顧客をまちで包括的に受け入れる体制を作り出していく試みです。

2015-09-15 18.51.02

この二つの企画を引っ提げて、冒頭の「まちと商うプロジェクト2015 事業説明会」が9月15日にみどりやビル2階で開催されました。約30店舗が参加し、2つの事業をテーマとして、互いの店の情報交換を行い、交流を深めました。

今回参加できなかったけれども、興味を持ってくださっているお店には、後日説明にあがるなど、フォロー体制も組みつつ、試行錯誤の中進んできたこの事業。ある意味、運営メンバーにとっては感慨深く、また思いが伝わるかどうかの緊張するひと時であったと思います。

2015-09-15 18.51.13

今回の会では、今年OPENしたばかりの新規店の店主もたくさん参加してくれました。

飛び交う名刺、あいさつの声。まちに対する思い。

それが嬉しくて、つい笑顔になってしまいます。

2015-09-15 19.12.30

既存店と新しいお店の交流は、正直なかなか難しい現状があります。世代も業種も違うので、出会う機会自体が少ないためです。しかし、一国一城の主としてお店を持つということは、みんな何かしら熱い思いや、こだわりを持った人たちであることは間違いありません。そういうみなさんが出会い、お互いを知る場を何とか開催できた実感。そうして始まったグループミーティングでは、やっぱり・・・^^

2015-09-15 19.45.53

この熱心に話し込む様子から、会場の盛り上がりは伝わるでしょうか。エリアや業種から試行錯誤して分けられた、約6名からなる5つのグループが、会場ところ狭しに座り込んで話に花を咲かせていました。

一時間余りの話し合いの後、各班のグループリーダーがそれぞれの意見をまとめて発表してくれました。

「私のグループでは、それぞれが、自分のお店のこだわっている部分を深く話し合いました。それでとっても盛り上がってしまって(笑)

例えば食品を扱っているお店では、商品の品ぞろえといった部分では大手スーパーがやればいい。自分のお店では、特にこだわりの小麦粉を仕入れるなどして、他にはない選び抜いた商品を置くなどの工夫をしています。

と、いう話の中で、ではその小麦粉をうちで使わせてください!という飲食店さんが現れたり。この話し合いの中でビジネスが出来ちゃいました^^」なんてことも(ビックリ!!)

2015-09-15 19.47.27

新しいつながりが生まれ、交流の中からビジネスチャンスの芽が生まれたグループ。

親子向けの様々なサービスが考え出され、すでに実行している部分の共有をおこなったグループ。

子ども向けサービスは業種的には現状難しい事ではあるけれど、投資的に行う意味を確認し合ったグループ

お互いが有意義に結びつくために各お店を見に行って体験し、お客さんに発信するアイデア考えたグループ

いろんな視点で投げかけ、掘り下げ、店主たちがお互いに向き合った1時間余りの交流の時間。

熱い熱い夜はこうして更けていき、閉会のあいさつの後も、みんな名残惜しそうに笑顔で話し続けていました。

2015-09-15 18.41.17

自主的な動きもさっそく生まれ、10月5日(月)には、この中の1つのグループが情報交換を行う集まりを開催します。

この気運を上手に活かして、みなさんがより活用しやすい商店主同士がつながれる体制作りを進めていきたいと思います。

岡崎の中心市街地に存在する20商店街。その枠組みを超えて、集まりたい商店が集まり、自由に情報交換や交流が出来る大きな商人のグループ。そして、その人たちが共有するまちのビジョン。そしてそれを一体的にパッケージで発信していくイメージ戦略

IMAG1083-1

これらは数年がかりの事業になると思うけれど、着実に進めることで、まちの雰囲気がガラリと変わる可能性を秘めているような気がします。

2015-09-15 19.45.40

一つ一つ、手探りではありますが、熱い思いを秘めた商店のみなさんの思いを汲んで一歩ずつ進んでいきますので、気長にお付き合いいただけると嬉しいです^^

⇒【まちと商うPJ】100年企業が連なる、空恐ろしいリスト「岡崎の秘密」

⇒【ママ向け企画】実録!モニターツアーの動向を追え!!